偽装の死いわれのない混沌の中望む望まぬに関わらず 氾濫する電子式の渦のなか 僕らはゆったりと偽装の死を遂げている あえて巻き込まれる愚行を躱し あるべき時にあるべき姿で残るよう 死を偽装する 偽装 擬装 偽葬 保存行為たる偽装の死 次への進化を待つ深海魚のごとく 暗く冷たい海に体横たえ 明日脱ぎ捨てる愚鈍の皮を揺りかごに にごって見える瞳には微かであれど夜明けの光 自ら扉をふさぐ全ての命 その秘めたる光は遠い天啓 全てを捨てず保ったままで きたるべき日にたどりつくまで 偽装の死を遂げ 渦の底を揺れる |